迫りくる危険な合成添加物
ジャンクフード、コンビニフードを製造するときに使用される合成添加物への危機意識を高めたいと思います。まず、ハンバーガーです。いったいどんな合成添加物がどれだけ使われているのか、それさえわかりません。もっとも危険な食品だといえるでしょう。次いでコンビニフードです。最大手のコンビニのおにぎりなど新製品は偉い人が試食してから決定するとか・・・本当でしょうか?!。まずコンビニのパンです。パン製造最大手メーカーとそれ以下の製造メーカーの合成添加物には明確な差があります。ぜひ、製品の裏に書かれている添加物一覧を読んでみてください。
先般、食品ジャーナリストの方が警鐘文を寄稿されていましたが、私も特にコンビニフード(コンビニ業界)の社会的責任を思いました。
合成添加物の危険性という視点
まず第一に、国が認可している合成添加物ではないか・・・というステレオ思考の危うさです。認可されている合成添加物は動物実験などで致死量や習慣性など、安全性(質と量)を確認し、認可されます。ところが、その実験では1年、5年、10年、毎日、数年、継続してその合成添加物を摂ることや別のコンビニフードによる同様の合成添加物の重複摂取(すなわち、添加物量の増大)は考慮されていません。現実に、コンビニフードを常食にしている人が想像以上に多いこともあります。私の周りにも朝・昼・夜の食事をほぼコンビニフードで済ませるという食生活を3年近く続け、腸間出血で入院してしまった単身赴任の友人がいます。真夏に3日間放置してもカビがはえない、腐らないコンビニ弁当に驚愕したという後日談もあります。ぜひ考えてみてください。自分でつくったおにぎりやお弁当を真夏に3日間も放置し、それを食べる人はいるでしょうか?!ですから、コンビニフードは3日間以上販売できるように加工されています。その主要な合成添加物は合成保存料であるといっていいでしょう。そして、この合成保存料に発ガン危険性の高いものがあるわけです。
合成添加物(単一の)を50年毎日摂り続けても致死、被害に至らない量を動物実験で確認できたとしても、同じ添加物を使った他の加工食品を同時に摂る-添加物の重複-のは多くの人の日常でもあると思われます。ですから、加工食品の添加物の安全性実験は現実の食生活を考えるとほとんど意味をもちません。なぜなら、5倍量を重複摂取したときの動物実験はやっていないからです。5倍量の安全性は確認されていない-危険かもしれません。おそらく、日々コンビニフードに依存する食生活は危険域に入る量ともいえるでしょう。すなわち、Aという添加物の摂取は単独で認可された量だけでなく、重複摂取がありうること、その危険性の視点をもつことが大変重要になります。
クスリの危険性(副作用)
クスリの危険(副作用)についても同様です。Aというクスリの副作用発現率が5%とされたとき、現実治療でAを単独で服用しているケースはほとんどないでしょう。B、C、Dというクスリ・・数種類を服用することが一般といえます。そのB、C、Dのクスリを同時に服用したときのAというクスリの副作用発生率は10%かもしれません。臨床実験を経て実際に市販されてから亡くなる人が出てくるのはそのためです。臨床実験というのは条件を設定(通常、併用薬は1種類程度)して行われます。現実医療で5種類、6種類の併用はほぼ一般的ともいえますから、臨床実験の条件とかけ離れているわけです。ですから、製薬会社のカタログに書かれているクスリの副作用発生率はそういう意味-参考値-に過ぎないことを医療を受ける側でも知っておきたいわけです。そして、このことは医師にもわかりません。医師もAというクスリのカタログに書かれた副作用発生率しか見ていません。現実医療(治療)でA単独ではなく他にB、C、Dという3種類と併用したときの副作用の発生率はわからないまま治療で使います。そして、死亡事故はじめ、副作用報告が増えると医師は使わなくなります。その医師自身が患者さんの治療で同様の副作用を経験することもあります。
基本的に人工合成された新薬は毒性のある物質が多く、それをクスリとして利用できるか実験を繰り返し、臨床実験で容量を決めてクスリにします。ですから、合成新薬であらわれる副作用は本来的だということです。
このように、添加物もクスリも許可・認可に使用される実験データというのは、現実の食生活や現実の医療のデータではありません。条件を設定している実験データです。「現実の食生活の合成添加物の重複摂取(大量摂取)」、「現実の医療のクスリの多剤服用」という現実的なデータになっていないわけです。合成添加物もクスリも本来的に毒物であり、「この量であれば」生体への甚大な被害はないと認可されています。「この量であれば」の判断ですが、ご自身の現実食生活で「この量」をぜひチェックしてみてください。
Aという添加物が「この量」であれば50年継続摂取しても問題ない・・・とされても、重複摂取によってその認可量を10年で摂取したらどうなのでしょうか。その安全性は誰も、どこも保証はしていません。コンビニフードを筆頭に加工食品の合成添加物の重複摂取の問題、食の危険が迫っているのです。
健康寿命を考える健康寿命について改めて考えてみたいと思います。
「健康寿命」という概念は、2000年にWHOが提唱してから各国で急速に認識が高まっています。平均寿命 ⇒ 生まれてから亡くなるまで(の時間)として誰にも知られていますが、健康寿命は平均寿命とは異なる概念、考え方だからでしょうか、まだまだ認識が低いように思われす。厚生労働省でも健康日本21・スマート・ライフプロジェクトという啓蒙活動を行っていますが、この運動もやはりまだ国民へ浸透しているとはいえないように思います。
「健康寿命」 ⇒ 他人の援助がなくても、自分自身で日常生活ができる(時間)。
そう考えていただきたいと思います。ですから、寿命という言葉がついても、亡くなることではありません。健康な時間のことですから、寿命という言葉よりも他のわかりやすい言葉(例えば、自立生活時間)がよさそうです。
この健康寿命ですが、日本は男性で70歳、女性が73歳とされています。そんなに短いだろうか!? そう思うわけです。
平均寿命が男性80歳、女性87歳ですから、健康寿命との差(男性で約10年、女性で約14年)が、他人の援助を必要とする人生の時間というわけです。
古くは(40~50年前)、家族みんなでおじいちゃん、おばあちゃんを援助するのが当たり前でした。現在では介護保険制度によって他人が援助する時代になっています。これは社会学的には家族制度の大きな変遷ともいえます。同時に核家族化に伴って、女性が家に居るという考え方は既に過去、現在は女性の有職率が80%にならんという時代です。すなわち女性が仕事をもつのが普通になった。そういう時代であり、主婦が身を粉にして親の面倒をみることもできなくなっています。さらに核家族化によって、「家族みんなで・・・という構図がなくなった」わけです。
こうした社会の変化に対し、政治の施策はやはり遅れているでしょう。例えば、10年も前から待機児童の解消が課題となりながら、今もそれを問題にしているのはなぜでしょう。政治を生業にする人、そして私たち国民(市民)が少しづつわがままを抑え、一期に、ドラスティックに取り組まなければ実現しないといえるでしょう。日本の美徳?、多数の理解、調和を求めている間にどんどん変わって(悪化)いきます。
さて、健康寿命が70歳とか73歳というのもどうもピンときません。私の周りは70歳過ぎて仕事をもっている男性が少なくなくいますし、73歳の女性の元気さにはいたるところでお目にかかります。どうも他人の援助が必要になる平均年齢と思えないのが偽らざる実感です。果たして、厚生労働省はどんな基準でこの健康寿命を公表したのか疑問に感じるわけです。つい先日も、お客様にこのお話をしました。そのお客様は現在68歳(女性)だそうで、「あと5年で自分が人様のお世話にならないと生きていけない?なんて嫌!」とおっしゃっていました。実にお元気です。「平均73歳で健康寿命(女性)だなんて何かの間違いでは!?」とおっしゃっていました。73歳の女性、70歳の男性、どちらも健康寿命にはまだ遠い年代ではありませんか。現実はおそらく+5年でしょうか、どうでしょうか(女性78歳・男性75歳)。
とまれ、健康寿命が長いにこしたことはありません。人さまの援助がなくても自分のことを自分でできるというのは健康な証拠だからです。総じて、東海・甲信越・北陸エリアで健康寿命が長いようです。
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100歳以上 58,000人!長寿高齢と非婚少産総務省は敬老の日を前に、最新の人口推計を発表しました。
それによると、総人口(1億2,720万人)のうち65歳以上が3,296万人(25.9%)、14歳以下が1,624万人(12.8%)となっています。秋田県・高知県は65歳以上が31%超、山口県・島根県を加えた4県は既に30%を超えています。さらに、市町村での統計では、いわゆる「限界集落」が加速度的に増加している事実が明らかになっています。
現在の日本は「子ども」の2倍以上の人が65歳以上で、長寿・高齢社会であることは鮮明になってきました。また、「子ども」とほぼ同じ1,590万人(12.5%)が75歳以上で、100歳以上の人が58,000人ということを考えると、この長寿・高齢社会に見合う社会の整備が緊急に求められているといえます。
一方、オギャーと生まれる子どもは年々減少し、現在100万人程度、近い将来(15~20年)には80万人程度に減少すると見込まれています。日本は既に亡くなる方(約120万人)が生まれる子ども(約100万人)より多い、人口自然減国になっています。
わずかに10年前、生産年齢人口(15歳~64歳)の4人が1人の高齢者(65歳以上)を支える社会でしたが、現在では2.4人が1人の高齢者を支える社会になっています。今後、生まれる子どもはさらに減少していき、65歳以上の人は毎年100万~120万人増加していきます。そして、今40歳代、50歳代という人も、これまでの発想で10年後、20年後の引退生活を考えることはできない状況が既に見えているわけです。10年後、65歳以上の人が全国平均でも30%を超えること、秋田県や高知県などの数県では40%に近づくことがほぼ確実視されています。この背景に、「人口の半分以上が65歳以上」という「限界集落」が加速度的に拡大していくことがあります。限界集落とは、過半数が65歳以上で、結果、将来消滅してしまうであろう集落のことですが、まるで日本全体が限界集落になってしまうのではないかという、今それほどの勢いで長寿高齢・非婚少子社会は進展しています。
また、社会福祉の根幹である年金制度はこの長寿高齢社会と非婚少子社会で、もはや制度として成立しえない状況にもなっています。それは、現在の年金制度は「継続的人口減社会では成立しえない仕組み(制度設計)」になっているからです。生産年齢人口が拡大していく社会構造の下でしか成立しない制度なのです。生まれる子どもの減少は近い将来(18~22年)、生産年齢人口の減少であるため、税金や年金を納める人がどんどん減少していくということを意味します。病気治療のための健康保険制度もほぼ同様です。保険を使う人(高齢者)が増大し、納める人が減少しますので、これもまたこれまでの延長線で考えることはできないのです。
さて、非婚少子社会に関してはさまざま理由はあると思いますが、多くは結婚したい(人生という時間を共におくる)相手がいない、結婚という社会制度に魅力がないということでしょうか。近年、男女とも30歳前後で結婚し、第1子の誕生は30歳代前半がもっとも多く、次いで30歳代後半、そして20歳代後半となっており、30歳代の出産が一般化しています。一方で、30歳時の独身率は男女ともに既婚率より高く(独身が過半数)、生涯独身率(50歳時の独身率)は男性20%、女性14%とも報道されています。
スウェーデンなど北欧諸国やフランス、イギリスなどでは「結婚」だけでなく、「事実婚」、「同棲」という形で生まれる子どもも多いそうです。いわば、そうした家族制度が社会でも認知されているわけです。そうしたことで、女性の出産も上向いてきたといわれます。結婚という制度からではなく、子どもが生まれているわけです。翻って、日本(あるいは東洋諸国)はどうでしょうか。日本は世界でもっとも精緻といわれる「戸籍」という制度があります。戸籍は結婚によって新たに生まれ(新規に編さんされる)、戸籍は「夫婦とその子ども」で成り立っています。日本でも事実婚や同棲で生まれる子どもはいますが、欧米諸国から見れば少ないといえるでしょう。日本では、結婚という制度を通じて生まれる子がほとんどすべてであるため、結婚が子どもの出産とパラレルになっているわけです。そのため、非婚では子どもが産まれないわけです。欧米は結婚と出産がパラレルとはいえないため、結婚していないカップルにも子どもがいることが多いわけです。
さて、日本の100年後を見据え、私たち、そして日本が歩むべき道はどのようなものでしょうか。
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健康基準の見直しへ! その3 150万人の結果とは新基準値は本年6月決定、明年4月施行へ!はどうなった?!日本人間ドック学会が4月に公表した健康の新基準値に関し、学会から度々「ご説明」なるリリースがなされ、日本医師会のホームページにも掲載されています。今回、この8月25日に日本人間ドック学会から公表された「ご説明」(http://www.ningen-dock.jp)について考えたいと思います。
まず、日本人間ドック学会がこの基準値を公表した4月、この基準値は6月に決定し、明年4月から施行するとされていたわけです。その後、予想通り?国民的議論なく、医師同志(医学界)の議論によって、健康の「基準範囲と臨床判断値」は異なると表現し、あたかも公表された新基準値が撤回されたかのような状況に陥っているわけです。人間ドック学会の相手は日本医師会、その傘下にある日本医学会といえそうです。
どうも、医師同士の議論というのはわかりにくいものですね。もっと、国民的な議論として取り上げられていいと思うわけです。なぜか、メディアもあまり取り上げませんが、国民、健康を願う人に実に大きな問題提起になっています。
健康の基準範囲と臨床判断値?とは8月25日の日本人間ドック学会の「追加のご説明」によると、基準範囲とは「健康人の検査測定値を統計学的に解析し、測定値分布の中央部分の95%の測定値を含む範囲」だとしています。さらに「これは健康人だけから得られたその分布幅を示すデータで、検査値を判断する一種の物差しとして大変有用であります」としつつ、「しかし、これは病気の診断やリスクの評価、さらに治療の目標のために作成されたものではありません」とし、「基準範囲と臨床判断値は設定方法や定義が全く異なりますので、医学的に全く違う指標であり、日常診療での使用意義は全く異なるものであります」と「ご説明」しています。それでは、日本人間ドック学会は、なぜ4月に国民に新基準値だと公表し、明年4月施行とリリースしたのでしょうか。
学会はこうした「ご説明」の後、その理由をさらに「ご説明」しているが、それによるとなぜ全国で共用できる基準範囲(共用基準範囲)が必要だったのかといい、1)医療・健診機関では検査の基準範囲がまちまちであること、2)日本人健常者の基本検査の実態、基準範囲が不明瞭であること、3)100万人以上を対象とした大規模研究による基準範囲の設定がないこと、4)基準範囲に男女差や年齢差があるにもかかわらず適正に設定されていないこと、それが公表した理由であるとしています。
そこで、この新基準値(基準範囲という表現になっています)の意味を考えておきたいと思います。この基準範囲として公表された数値は、健診を受けた全国150万人のうち15000人の詳細データです。15000人のうち多くの人ははこれまでの健診基準値(臨床判断値!?)では「病気だから治療が必要」とされる範囲の人です。しかし、自身では健康と考えていて、治療は受けていない人です。例えば、高血圧症の診断値130-90を超える数値でも、異常は自覚しないため、病院には行っていないという人です。ですから、人間ドック学会が示した新基準値は、そうした15000人の多くの人(95%以上)に当てはまる数値を「新基準値」としたわけです。すなわち、数値は決して例外でもなく、単なる平均でもないとわかります。
高血圧症では、収縮期圧が142が中央値でありながら、95%の人は健康なわけです。これは130という基準値からすると12高い数値です。国際的に140が指標ですから、あながちこの新基準値が突飛な数値というわけではありません。国際的に・・・と表現しましたが、遺伝子、食生活、生活習慣などが異なるのでそのまま日本人にはあてはまらない?というのは詭弁です。なぜなら、同じ日本人でも個人差があるからです。「オーダーメイド医療」という言葉が一般化しましたが、一人ひとりがそもそも異なるわけです。Aさんは120で高血圧症、Bさんは140で健康人とされても、それが間違った診断とはいえません。ところが、120では高血圧症と病名を付けることができないのです。個人差を考えない現代医学は病気ではないとし、医師は心配いりませんとか言うのでしょう(病気でないとされ、健康保険も適応になりません)。同時に、この考え方では140で健康というのを認めたくないわけです。少しおかしいとは思いませんか。臨床判断値!?は130である。あなたは140だから(高血圧症だから)治療しなさい、とはいえないのではないかと思うわけです。民族差と同じように、個人差があります。現実に、アレルギーを考えても、民族差以上の問題(差)があります。そうした視点がなく、数値が140だから病人であるという考え方そのものがいかがかと思うわけです。こうした個人差はコレステロール値や白血球数なども然りです。ですから基準値には幅があるのです。
人間ドック学会が示した新基準値は、高血圧症でいえば142を超えない場合(135とか)、すぐに薬物治療を行うのでなく、運動・食生活・生活習慣の改善指導を十分実施するべきであると提言したと考えることもできるでしょう。医師は「専門学会のガイドラインではこうなっている」と、医師自身で患者の個人差を十分精査することなく、治療(薬物治療など)することにも問題が多いわけです。医師は自身の言葉でなく、基準値やガイドラインをひっぱりだして説明する。検査値で病気かどうか決める、そこに問題がありそうですね。検査値は有力な診断根拠です。それは確かです。しかし、対峙する患者さんには一人ひとりに個人差があります。多くの医師はそうした個人差は考えず、病名を付ける、健康人でも病人にしていることがあることになります。検査値に重きをおく、検査医学というのは個人差を払しょくしてしまう医学・医療なのです。検査値は有力な診断武器ですが、それで全てがわかるわけではありません。まして、その検査値を専門家が知識の乏しい患者さんにトクトクと説明し、それで診療行為を済ませる医師には閉口します。医療は人(患者)対人(医師ほか)のコミュニケーションだからです。もうひとつ、どの医療にも絶対正しいはありません。私たち患者はそのことを十分理解したうえで診療を受けることが大切でしょう。
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健康基準の見直しへ! 医師同志の議論やはり、前回の懸念通り、人間ドック学会が示した新たな健康基準値に医学界で議論が噴出しているようです。大変、不思議な光景で、議論であり、この議論を俯瞰してみたいと思います。
そもそも基準値とは何か―個性ある一人ひとりのための医療を
健康診断での基準値で、健康と不健康(病気)が決まることは考える必要があります。医師が「あなたは高血圧症です」と患者に告げるとき、医師はこの一律の基準値に照らしてそう診断したわけです。現実に、あなたという人と他のAさん、Bさんは、その遺伝子も、長い生活習慣も異なります。しかし、医師は、高血圧症という病気の診断でそのような違いはさほど考えることなく、「基準値に照らして高血圧症ですと言っている」わけです。このことが同じ医師でも決定的に異なる今回の議論に現れていると思うわけです。医師の議論は不思議な議論であり、同じライセンスをもつ医師の議論なのだろうかとは思いませんか。
今回、人間ドック学会は150万人のうち、病院にかからず、医師の治療を受けていない、健康に暮らす健康人1万人を詳細に調査したわけです。ですから、人間ドック学会が公表したデータ(数値)は、「健康な人のデータ(数値)」です。すなわち、「健康とは何かを示す一つの大きなデータ」と考えていいわけです。
具体的に、高血圧症では、健康診断で収縮期血圧が130mmHg以上【病人】と診断された人は、実際に病院を訪れ、医師の治療を受け、クスリを飲み続けている人がいます【A】。一方、診断値は130mmHg以上であっても体調に変異がない【健康人】がいます。こうした人は病院を訪れることなく、医師の治療を受けず、クスリは飲んでいない人です【B】。
そこで、人間ドック学会は、この治療を受けていない人【健康人】について詳細調査をしたわけです。すると、そうした人では高血圧症の「はずの」130mmHgを超えている人が健康に暮らしていることがわかったというわけです。
前回、基準値を考えるにあたって述べましたが、西洋近代医学は、老化という、病気でない病気を診断することに非力だということがあります。西洋近代医学は、100人がいると、そのうち60人が頭が思い、めまいがする、のぼせるなど・・・高血圧症状を訴えると、その60人の平均値が130mmHgであれば、130mmHgを病気の基準値にするという考え方に立っているわけです。結果、高血圧症と診断される60人のうち、この平均以上の人でも(例えば、150、160とか)、また平均以下の人がいても(例えば、120、125とか)、平均値である130mmHgだけ残され、それが基準値になります。一般的にとか、標準とか、そうした用語で修飾され、個体差を考慮せず、高血圧症と診断されるわけです。それが西洋近代医学の考え方です。現実には、人の違い(個体差)は当たり前すぎるのですが、この基準値に個体差は表れません。「同じ人60人」として高血圧症の患者になるわけです。この西洋近代医学の考え方を知っておくことは大変重要です。あくまで、平均化(一般化)された一律の数値で病人か健康人かを決めているのです。一人ひとりの患者は、平均値、平均人で自分を診るのでなく、平均と異なる個性をもつ私自身がどうなのかを知りたい、それが本意ではないでしょうか。実際、平均値という人はどれだけいるのでしょうか? 。平均値で、個性あるその人が病気かどうかを診断するのは極めて難しい問題だといえるでしょう。
今回の人間ドック学会が提唱した新・基準値ではそうした個性、人の違い、幅をよく見ていると思います。このことは、Aさんは130で高血圧症とされ、Bさんは140で健康とされたという診断があるという事実を示しています。このように、西洋近代医学がもつこの一律基準の考え方は、個性ある一人ひとりの正しい病気の診断に必ずしもつながらないことになります。血圧が140でも健康な人がクスリを飲み続けていたら、かえって健康を害する原因になりかねません。「医原病」も以外に多いことを知っておきたいものです。
生物としての老化―老化は病気なのか
高血圧症は血管の弾力が失われて血圧(血管内圧)が高くなる病気(病気というより老化現象です)です。同じように、加齢とともに皮膚でも弾力も失われていくことは多くの人が自覚しているのではないでしょうか。体内も血管も同様です。老化は生物としての自然な現象です。むしろ、60歳代、70歳代になって30歳代、40歳代と同じ健康、体質を維持したいとする方が不自然だといえるでしょう。高血圧症だけでなく、私たちは生物として自分の老化と向き合い、質の高い心身の健康、ウエルネスなライフスタイルを創りあげていくことが大切ではないかと思うわけです。現実に、生物としての老化を嘆いたり、繕うのでなく、むしろ60歳代らしく、70歳代らしく輝いている人にある種の感動を覚えます。当然のこと、皮膚だけでなく、体内も老化していきます。それぞれ年代の自分の変化を感じつつ、自分の意識、ライフスタイルを変化させていく「らしい生活」を心がける、それこそが健康の秘訣ではないのか、そう思うわけです。ですから、老化現象を「病気」として30歳代、40歳代のように完全治癒を目的にする必要はなくていいわけです。自分の老化と向き合い、自らの老化を受け入れ、やはりそれも自分である、そんな考え方をとることが必要なのではないかと思っています。
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緊急告知-リコピンダイエットと健康を考えるデキストリンサプリをリコピンサプリと宣伝する企業
-消費者庁の是正勧告-
リコピンダイエットを謳ってきたデキストリン系サプリメント販売企業に対して、先ごろ消費者庁が広告宣伝のあり方に是正勧告を出したことをご存知かもしれません。このサイトでも同様に指摘してきましたが、夜寝る前にリコピンサプリメントを飲むとダイエットになる・・・そんなことはないのです。当たりまえですが、なぜか、この勧告を受けた会社のデキストリンサプリメント(まず、この企業がデキストリンサプリをリコピンサプリかのように宣伝していること自体が問題です)が若い女性に評判だというので、このサイトやリコピンフォーラムで注意勧告をしてきました。改めて正しい知識と判断が必要であることをぜひ考えてもらいたいと思うわけです。
品質とは=①製品の安全性・効果 ②製品・成分情報
企業側には大いに問題があります。この製品はデキストリンを主成分とした「下剤的サプリメント」です。しかし、メイン成分であるデキストリンに関する成分情報が提供されていないことが問題であることを指摘しました。なんと、主成分情報はなんら提供せず、副成分のリコピンだけを宣伝し、販売してきたという企業なのです。
また、リコピンは油脂とともに吸収されますが、このサプリメントに油脂は配合されていないことも問題であることを指摘しましたが、根拠のない広告宣伝をはじめ、このサプリメントはさまざま問題をはらんでいるようです。
ところが、消費者庁の是正勧告後、この企業は「品質に問題はない」とリリースし、さらに驚いてしまいました。この企業に、品質とは①製品そのものと②製品情報の二つがあるという理解、認識ができていないわけです。こうした企業の認識レベルで良質のサプリメントをつくることはできないといっていいでしょう。最後の最後まで問題がある企業だといえるかと思います。
消費者としてこうした認識レベルの企業がつくる製品に十分な注意が必要です。根拠のない広告宣伝を派手に流しながら、真に消費者が必要な情報は提供しないという企業姿勢だからです。消費者庁ももっと早くこの対応をするべきだといえるでしょう。
リコピンダイエットとは=リコピンによる代謝促進
ただ、リコピンダイエットという表現そのものが間違っているとはいえません。リコピンがもつ代謝促進でダイエットは期待できるのです。ただ、今回問題となった製品は、そもそもリコピンサプリメントではありません。ですからダイエット効果はありません。また、ダイエットとはただ痩せることではありません。リコピンサプリの設計は、①リコピンが主成分であること、②オリーブオイルが配合されていること、それが必須条件ですから、この問題サプリメント以外にも問題をはらんだ擬似リコピンサプリがあるわけです。トマトメーカ-大手にも同様の問題サプリメントがあります。
リコピンサプリメント製品はそれほど多くありません。私が関係する企業のほか、2~3社程度しか販売していません。広告宣伝で有名な企業のリコピンサプリは、大手メーカーを含め、根拠もなくリコピンの名前だけ強調して販売している、擬似リコピンサプリといえるからです。その多くがリコピンを配合しただけ、いったい何を目的に製品設計したサプリメントかがわからないというのが実情になっています。ほとんど意味はないといっていいでしょう。
なお、リコピンフォーラム(http://lycopeneforum.seesaa.net/)第8回~13回で、リコピンサプリメントの製品設計、成分設計のあり方、販売されている製品の正しい評価、選び方について解説しています。
カロテノイド(リコピン)のちから
植物の色素であるカロテノイド成分は、健康維持や美容、病気予防のために貴重な健康成分です。本来、そうした大切な成分情報を製品の品質として消費者に提供し、消費者に正しく理解されて、健康のために利用してもらことが目的で、企業責任です。
同時に、カロテノイドはビタミンやミネラルと同じ食品成分ですから、飲んだ翌日に効果を実感するということはありません。薬ではありません。また、あってはならないことです。薬成分を含む問題サプリメントがあるようですが、正しく製品設計されたサプリメントは半年、1年という時間のなかで健康増進や体調管理を目的にするものですから、すぐに効果を実感することはないということです。これは重要な視点ですからぜひ理解していただきたいと思います。
予防とは本来そうした時間軸で考えるものです。実感することがないのが予防医学の特徴でもあります。そして、そのことは大切な視点だということも忘れず、サプリメントを健康維持に役立てていただきたいと考えるわけです。
予防のためには時間とお金をかけないとよく言われたりしますが、病気になってしまうと簡単に体調、健康が戻らなくなります。いったん病気が発症すると時間もお金もかかることは覚えておいていただきたいと思います。すなわち、予防にかけるお金は(1ヶ月5,000円程度)は安いことは知っていただきたいと思っているわけです。
「製品より、情報を買う」のが正しい判断
広告宣伝が目立つ企業、製品情報や成分情報がほとんど提供されていない、あるいは乏しい企業の製品は疑問をもつことを忘れないでください。健康のためと考えつつ、健康を害することになりかねません。先般の化粧品被害事件でもわかるように、消費者庁は常に後手の対応しかできません。健康被害なども後手の対策になりがちだということはこの機会に理解しましょう。
広告宣伝はもとより、製品よりもその製品の情報を買うという姿勢が大切なのです。製品設計の目的、そのための成分情報など、自社の製品にかかわる情報を正しく提供しているかどうか、それが製品の品質、安全性、効果につながるからです。そうした大切な情報を提供せずに広告宣伝するような企業、それだけで購入することは危険だといえるでしょう。
正しい製品情報、成分情報を提供・開示している企業の製品を選ぶこと、それが何より大切だということです。大手企業だから安心できると考えることは間違いです。一般には、広告宣伝が派手な企業は注意するべき企業だといえるでしょう。
健康維持、予防医学のためのサプリメントです。安心して健康のために利用できる製品を選びたいものです。
テーマ : ダイエット・美容・健康
ジャンル : ヘルス・ダイエット
メタボリックシンドロームと高血圧症
腹囲と心血管系イベントリスク
2008年よりメタボ検診が開始されていることはご存知だと思います。このメタボ検診では、近年、腹囲との関係に疑問が呈され、その見直しが指摘されるようになっています。
メタボリックの定義は肥満と同義でも使われたりしますが、基準とされる腹囲が基準値(男性90センチ以上、女性85センチ以上)を超えていても、血圧や血糖値が正常に保たれている人は心血管系イベントの発症につながらないことがわかってきたからです。このことは、血圧や血糖値のコントロールが心血管系イベントの予防に重要なファクターになっていることを示すものです。
大橋靖雄教授(東大)は、全国2万人に及ぶ男女を7年間にわたって追跡するというコホート研究を実施しました。それによれば、脳血管病の発症に血圧や血糖値が大きく関連していることがわかり、肥満との相関が少ないことがわかりました。
また、厚生労働省研究班(班長:門脇孝東大教授)も、全国2万人の男女を9年間追跡調査したコホート研究で、血圧が基準値を超えている人は肥満とは関係なく、脳血管系、心血管系の病気の発症が高まっていると結果を報告しています。
死亡原因のリスクファクターでは喫煙が指摘されていることは知られていますが、高血圧症もそれと変わらないリスクファクターになっていることは意外に知られていないように思うわけです。
そして、高血圧治療では半数の人が十分コントロールできていないことも報告されていますが、血圧管理は非常に重要な健康指標であることは認識してもらいたいと思うわけです。120-80というのが血圧の正常値とされますが、140-90という範囲の血圧管理が大きな課題になっているわけです。積極的な血圧コントロールの是非が背景にあるわけですが、これに関連して、すぐに薬に頼るというのでなく、食生活を通じた血圧管理、健康管理を意識するということが重要な視点になっているわけです。
リコピン(カロテノイド成分)のちから
リコピンはトマトの抗酸化機能成分ですが、欧米でこのリコピンによる血圧コントロールの試験が始まっています。
これは、薬の治療では半数が満足できるコントロールがなされていない現状というなかで、食品成分によるコントロールが可能かどうかを検証しようとする試みです。いわゆる軽症高血圧症140-90のコントロールが前提の試験ですが、リコピンを2ヶ月服用し、一日12mg以上で一定の効果が見られ、15~30mgでは有意差が確認されたという報告が欧米10カ国の共同研究で発表されています。
リコピンはカロテノイドでもっとも期待できる機能成分といっていいのですが、高脂肪食品の多い現代の食生活を見直すこととともに、動脈硬化を促進する酸化LDLの合成抑制のために積極的に摂取したい食品成分だともいえるでしょう。
米国では医師が治療に薬と同格でサプリメントを使いますが、残念なことに、日本では医師が治療にサプリメントを使うことはまだ多くありません。しかし、医(薬)食同源の言葉のように、食生活は病気の予防、治療の最優先で考えるべき大切な視点であるということだけは間違いありません。この機会に、食生活による健康管理について考えてみることを強くお奨めしたいと思います。
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秋の体へ-夏野菜で体内水分のケア夏の水分と秋の水分
さて、夏の疲れが体に出る季節になりました。肌寒い日があったり、まだ夏と思うような日があったり、今は季節の変わり目、夏から秋への体のケアが必要なときといえるでしょう。夏は自然がもっとも厳しい季節ですが、どうしても私たちは生活のなかで無理をしてきました。
特に、体内の水分です。これからの秋と比べると夏は2倍くらい補給(摂取)してきています。以前、夏野菜はなぜ水分が多いかというお話をしましたが、野菜の水分とはただの水ではありません。ビタミンやカリウムなど、たっぷり含んだ水分ですから、野菜から水分を摂るのはただ水道の水を飲むこととは違うわけです。夏野菜を多く、意識して摂ってきた人はそう心配はいらないのですが、ただの水(水道水・ジュース・ペットボトルなど)を多く摂ってきた人はこれから要注意です。
体の中は水だらけ
そもそも、私たちの体は65%が水分だといわれています。水分は血液であったり、リンパ液であったり、60兆とも100兆ともいわれる個々の細胞にたくさんの水分があります。ですから、水分は本来的に必要な物質で、この水分とは、ただの水ではないことに留意する必要があります。野菜の水分も栄養素や機能成分を含んだ水分です。また、お味噌汁などもただの水分ではありませんね。食べ物より、まず水といわれるように、水のない生活では3日もすれば生命の危機に瀕してしまうといわれます。食べ物は1週間なくても生命の危機には至りません。それだけ水が大切なわけです。水と空気はタダと思っていると大変なことになります。
水は生命を潤す
水分は、細胞活動-これは生命活動です-になくてはならないわけですが、体温調節、老廃物の運搬などでも重要な役割を担っています。残念なことに、今年も多くの方が生命を落とされた熱中症は、この体温調節ができない体の状態です。汗をかくというのは、体温を下げる働きです。人間は36~37℃で恒常性が保たれていて、汗とか呼気がまるでサーモスタットのように自動的に体にたまった熱を外に出しています。それで、毎日の健康が維持できるわけです。
また、全身をめぐる血液というのは、体のさまざまな老廃物を一緒に集めてきますが、腎臓を通るときに大量の水で濾過(クリーニング)されます。そして、必要な物質がもういっぺん再吸収されてから、最後に尿として排泄されています。尿は1~1.5リットル排泄されます。汗や呼気でも1リットル程度(寝ている間も)排泄されますから、私たちは水分を一日2~2.5リットル程度は補給する必要があります。食事などから1リットル程度、意識して1.5リットルは飲み物などで補給する必要があります。飲み物はただ水だけでなく、お茶やコーヒーなど工夫することも必要です。
夏野菜で秋の体づくり
夏は、秋と比べて多くの汗、呼気などでも水分を失いますのでどうしても水分を多く摂ってきました。それが秋になっても水分を多く摂ると、今度は体に必要のない水分がたまりやすく、かえって体調を壊してしまいます。夏から秋への季節の変わり目に体調を崩す人が多いのはそのためです。
季節の変わり目は体の変わり目でもあり、水分補給も変わり目だと意識することが大切です。
夏野菜はビタミンやカリウム(ミネラル)の宝庫です。キュウリ・ナス・ゴーヤ・ピーマン・ミョウガ、そしてトマト、見事に水分代謝を調節する成分(ビタミンやカリウム)をたっぷり含んでいます。秋が深まりつつありますが、秋の体をつくるために、もういっぺん夏野菜をしっかり食べてケアすることをぜひおススメしたいと思います。
もっとも自然が厳しい夏に育つ(旬)野菜は実にたくましい野菜なのです。厳しい自然に負けない野菜のチカラで夏の体のケアをし、今度は味の濃い、実りの秋を堪能しましょう。
テーマ : ダイエット・美容・健康
ジャンル : ヘルス・ダイエット
サプリメントを選ぶ-製品情報を正しく読むKeywords:
サプリメントの選び方,情報のあり方,正しく理解する,製品設計,成分設計,安全と安心,薬・食品・サプリメント現在では、多くの方がサプリメント(栄養補助食品)を摂るようになりましたが、摂る目的や製品情報を十分確認したうえで、、安全で安心できる製品を選ぶことが大切です。特に、情報サイトでは、製品設計であまり関係しない成分を強調して、消費者の関心をひきつけようとするものもあります。自分自身で原材料や成分をきちんと調べ、理解してから選ぶことが何より大切です。サプリメントは食品ですから、毎日の食事と同じ考え方で選ぶことが大切です。
主原料は製品設計の要(かなめ)
サプリメントではどんな健康効果を期待して設計されたか、それが主原料の設計にあらわれています。サプリメントの主原料は、原材料表示で初めに表示されている原料(法律で、もっとも多い原材料から順に表示されています)です。
主原料がデキストリン(デンプン成分)で設計された、いわば整腸・下剤系ダイエットサプリがあります。このサプリでは副原料の一部のリコピンだけを強調していて、リコピンダイエットと宣伝しています。しかし、若い女性の投稿などを読んでみると、やはり下剤効果はあるようですが、リコピン効果、ダイエット効果があると評価されているものは少ないことがわかります。この製品設計ではダイエット効果(便通の改善だけではありません)を期待することは難しいといえるでしょう。このサプリは整腸・便通改善(下剤効果)を期待して設計されているサプリメントと考えていいと思います。
このデキストリンを主原料(主成分)として設計し、リコピンサプリと宣伝している下剤系ダイエットサプリに関する投稿に、①「ダイエットにいいのは何もトマトの繊維質だけじゃない」②「13-oxo-ODAが配合されていない」、③「リコピンはカロリーや糖質の吸収を抑えるのはウソ」、④「リコピンは体に蓄積するから摂りたくない、危険」などと書かれたサイトがあり、リコピンの正しい情報、消費者の正しい理解が必要なことがわかります。
夜トマトダイエットサプリ=デキストリンサプリ
この投稿に関連して、リコピンに関する正しい情報(訂正情報)を提供しておきたいと思います。以下、投稿された作者にも理解していただきたいと思います。
まず、①に関してですが、このサプリが「リコピンダイエット」と宣伝しているのは、リコピンを宣伝に使っているだけだと思います。本来、消費者に対して「デキストリン(デンプン)ダイエット」の表現で情報提供されるべきサプリメントだといえます。実際に、このサプリメントは、デキストリンや麦芽糖を主原料にしていて、デキストリン成分によるダイエット効果を期待して設計されています。また、トマトの繊維質は配合されていません。「何もトマトの繊維質だけがいいわけではない」というのは勘違い、理解不足だと思います。消費者も、このサプリを選ぶときはダイエット(正しくは整腸・便通効果)を目的に配合されている原料は「トマトリコピンではなく、デキストリンデンプン(成分)である」ことを知っておく必要があります。この製品でも、主原料がデキストリンであることは原材料表示にちゃんと書いてあります。ただ、配合量の情報がないのは問題ですが。
同時に、このもっとも大切な主成分のデキストリン情報がなんら提供されていないこと、副原料のリコピンだけが宣伝されているため、消費者が勘違い、混乱するであろうことは容易に想像できます。この誤解を与えかねない情報提供(宣伝)は、作者が指摘するように倫理的問題があるともいえるでしょう。
このサプリではトマトの繊維質が関係していないこと、選ぶときには主成分であるデキストリンデンプンのことをきちんと調べ、理解しておくことが大切です。
次に、②の「13-oxo-ODA(京大の河田教授らの発見成分)が配合されていない」ということですが、配合されているかどうか明確ではありません。トマトエキス(リコピン)が副原料で配合され、そこに13-oxo-ODAも混じっているかも知れないからです。ただ、検証されていないわけですから、表示されていないことは正しいともいえます。今のところ、この成分が検証されていたり、配合されているサプリメントはありません。検証されていないにも関わらず、ブランドにしたサプリが一点あり、むしろこの製品の情報提供のあり方に倫理的問題が指摘されるべきでしょう。この製品の成分情報にも13-oxo-ODAが含まれているという表示はなく、含まれているとは考えられないわけです。話題を提供しているだけと考えられ、この製品には疑問が残ります。
それから、③「リコピンがカロリーや糖質を抑えるのはウソ」ということですが、カロリーや糖質を抑えるというのは、主原料であるデキストリンや麦芽糖に期待される効果です。ですから、リコピンではなく、デキストリン(デンプン成分)のであることを知っておいていただきたいと思います。リコピンにそうした効果があるかのように宣伝されていて、確かに消費者の勘違いや誤解を招きやすいこと、また大切な情報が提供されていない現実でもあります。
最後に、④「リコピンは体に蓄積するから摂りたくない、危険」ということですが、欧米でビタミンAやビタミンEの蓄積が問題となり、摂りすぎはがんを誘発するという報告があります。このビタミンAやビタミンEは人工合成ビタミン(合成添加物)のようです。天然のカロテノイド成分はα‐カロテンやβ-カロテンなどが小腸でビタミンAに変換されるのですが、リコピンはビタミンAには変換されません。リコピンのまま体に、血液中に入ります。
また、私たちの体でいちばん多い天然カロテノイド成分はリコピンです。特に精巣(睾丸)や前立腺、副腎に多く集まっています。そして、リコピンは体に蓄積しないカロテノイドであると同時に失われやすいため、がん予防や生活習慣病予防のためにも、トマトなどからリコピンを定期的に摂る食生活がむしろ大切になります。これに関連して、世界がん研究基金が「リコピンが前立腺がんを予防する可能性が高い」ことを報告しています。このことは国立がん研究センターの「科学的根拠に基づくがん予防」で説明されています(http://www.ganjoho.jp)ので、この機会にぜひ目を通していただきたいと思います。そして、このリコピンは食品で、天然物を摂る必要があります。安価な合成サプリメントもありますが、健康のためのサプリメントですから、くれぐれも天然成分を素材にしているサプリメントを選ぶことが大切です。
なお、リコピンについてもっと詳しく知りたい方は「リコピンフォーラム」(http://lycopeneforum.seesaa.net)をご覧ください。
主原料の情報を確認することで、そのサプリの性質はおよそわかります。製品設計として、主原料として配合される原料がそのサプリの性質、効果を決めるといってもいいわけです。そのため、主原料はほかの副原料より数段多く使われるのが一般です。
副原料は、主原料の効果を高めたり、相乗効果を目的に配合されるものが多いのですが、必ずしもそうとはいえず、何ら根拠なく、宣伝のためだったり、話題として配合されていると思われる製品もあります。そうした製品は配合材料が多いだけで、サプリの性質としてほとんど意味はもたないことも多いわけです。『主原料は何か』・・・これはそのサプリに期待できる効果です。そして『副原料は何か』・・・これは主原料の効果を高める成分です。そうした視点からサプリメントの製品設計を読むことで、選ぶときの勘違いが避けられ、サプリメントの性質がよく見えるようになります。
原材料や配合量、成分を知って選ぶ
情報サイトには原材料名だけしか表示されず、配合量や成分量は表示されていないサイトがあります。まさか、製品にもそうした情報が表示されていないとは考えにくいのですが、サプリを選ぶときは情報サイトを参考にして選びますので、その情報サイトに選ぶための情報がないということになり、大変困ってしまうわけです。実際に、それが「○○サプリの選び方サイト」という情報サイトですから、驚いてしまいます。「消費者が選ぶための情報サイトであるはずが、選ぶために必要な情報は掲載されていない選び方サイト」になっているわけです。おそらく、ほとんどは評価が高いと書かれている宣伝サイトなのでしょう。そうしたサイトでは比較されるサプリの製品数が少ないことや、製品設計や原材料などの分析がないなど、かなり偏った情報サイト(宣伝サイト)であることがわかります。比較するときは何を比較するの明確にしなければなりません。製品設計の違いか、成分や量の違いか、種類や配合量か、何を比較するのかが大切だからです。
ただ、比較するまでもなく、原材料名だけしか情報がないサイトでは選ぶことができません。原材料の配合量や成分量がわからないために、選ぶことができないわけです。こうした情報をきちんと提供しているメーカーがあるわけですから、情報提供(情報開示)に対するメーカーの姿勢にも差があります。消費者(お客様)に選ばれるために情報を提供するわけですが、そのための情報を提供しないメーカーは要注意だといえるでしょう。
薬・食品・サプリメントの違い
健康食品は「健康を増進する」ことを目的とする「食品」です。サプリメントは栄養補助食品として設計されるのが一般です。メーカーでは「ある効果=健康効果を期待して」、原材料がもつ性質、成分や量を確認しながら、設計、配合しているわけです。
薬は「これは何に効くのか」という会話が自然ですが、健康食品やサプリメントは「何に効くのか」という会話は不自然ですね。健康食品やサプリメントが「何かに効く」のであれば、流通そのものが危険ともいえるからです。「食品」として流通するのは「何に効くといえない」ことを意味します。わかりやすくいえば、食品は何かに効くとはいえないもの、そうした会話が成り立たないものだということです。栄養でも「何に効く」という会話はしませんが、健康食品やサプリメントも食品ですから、同様なのです。
逆に、薬は「何に効くか」明確でなければ薬とされません。これに関連して、たとえばコエンザイムQ10は近年まで薬の成分でしたが、現在では食品成分になりました。まだ、一部で薬の成分としても使われていますが、世界的には食品で利用される方が圧倒的に多いわけです。コエンザイムQ10はビタミン類似の成分(ビタミンQともよぶ)で、ビタミンと同様、その効果が緩やかであるため、2000年に食品成分とされたわけです。また、ビタミンCやEも薬と食品の両者で使われている成分です。
いずれにしても、健康食品、サプリメントは食品ですので、天然成分を主原料として製品設計された、質の高いものを摂ることが大切です。一部に人工添加物同様ともいえる安価なサプリメントもありますが、「健康のため」ですから、そうしたサプリメントは避ける方が賢明だといえるでしょう。
テーマ : 健康食品 サプリメント
ジャンル : ヘルス・ダイエット
リコピンサプリメントを選ぶ-製品設計を知るサプリの選び方情報サイト
サプリの選び方情報サイトがネットにあふれています。そうした情報サイトの多くでは、そのサイトがNo1とするメーカーの宣伝サイトであったり、広告会社とタイアップした同様の宣伝サイトといえるような情報サイトになっているようです。
そうした中、ブログサイトのなかには大変説得力に富み、学ぶことの多いサプリの選び方サイトもあります。そのサイト運営者は、おそらく医薬や栄養に関わる仕事に従事されたり、個人的に相当学習されて、知識をもっている方だと思われます。
サプリの選び方というサイト名を冠した情報サイトでは、消費者がサプリを選ぶときの大切な情報、すなわち製品設計や原材料、成分に関する本来必要となる情報が提供されずに、ダイエットに役立つ、アンチエイジングに役立つ、若々しさを保つ・・・などの美辞麗句が羅列されている販促サイト、あるいは宣伝サイトが多いのも気になるところです。今回は、リコピンサプリを例に、サプリメント選びで大切なポイントを解説します。
サプリメントの原材料情報と成分情報-製品設計を知る
サプリメントを選ぶときに、もっとも重要になる情報が原材料情報や成分情報、栄養情報です。通常、食品衛生法、JAS法、健康増進法などに従い、表示されています。ところが、原材料名しか表示されていない情報サイトがあり、大変驚いています。ダイエットの言葉で、若い女性に魔法をかけているといわれている有名なサプリメントの情報サイトにも、原材料名しか情報はありませんでした。
さて、原材料表示は、使用量の多い原材料から順に記載することが法律で決められています。ですから、そのサプリメントがどういう目的で設計されて、どんな性質をもつサプリなのか、この原材料表示でおよそ知ることができるわけです。いちばん初めに書かれている原材料名は、そのサプリメントの製品設計で目的を果たすために配合される主原料です。すなわち、原材料表示のいちばん初めに書かれている原材料名がそのサプリメントの性質をあらわしていると考えてもいいわけです。
リコピンダイエット? デンプンダイエット!?
情報サイトによれば、リコピンダイエットの言葉で若い女性を魔法にかけているサプリメントがあり、調べてみると、その製品の原材料名は、初めに「難消化性デキストリン」と書かれています。リコピンはトマト抽出物として中段にありますが、このサプリメントは、リコピンよりも、デキストリンの効果を目的として製品設計されたことがわかります。原材料名に表示されている上位の原材料でサプリメントの性質は決まりますから、他に書かれた原材料はサプリメントの性質にはあまり関係しない成分でしょう。
この若い女性に人気があるというダイエットサプリは、製品設計で主原料としているデキストリン効果による「デキストリンダイエット」あるいは「デンプンダイエット」でなく、「リコピンダイエット」と宣伝しているのも奇妙に思われます。この製品設計では、トマト抽出物(リコピン?)はこのサプリメントの性質にあまり影響しないと考えられること、さらに、リコピンサプリに必須であるオリーブオイルの配合量も少ないため(中段以降)です。
このサプリメントはダイエット効果を目的に製品設計され、そのためにデキストリンや麦芽糖を主原料(主成分)とした「デンプンサプリメント」であることを消費者に伝える必要があるでしょう。「デンプンダイエット」や「デキストリンダイエット」の言葉でこの製品情報が伝えられると消費者も理解できますが、なぜかリコピンダイエットの言葉で製品情報が伝えられていますので、そうした情報が消費者を混乱させていないか、それが懸念されているわけです。
ちなみに、デキストリンや麦芽糖は安全なデンプン成分(繊維質)とされ、ダイエットでも大切な成分の一つといっていいでしょう。また、この製品の情報サイトにある製品情報が原材料名だけで、原材料の配合量や成分量の情報は見当たらず、消費者が正しく判断する(選ぶ)ための情報が不足しています。この消費者への情報開示の姿勢もちょっと問題があるといえるでしょう。
日米のサプリメント設計事情
米国では、日本の厚生労働省にあたるFDA(医薬品食品局)というところが、医薬品と食品を一体で管理、指導しています。日本では、医薬品は厚生労働省、サプリメント(食品)は消費者庁が中心となり、米国とその管理、指導体制は異なっています。また、米国ではダイエタリーサプリメントとよび、食生活での栄養不足を補完する食品として管理、指導されています。ですから、米国ではサプリメントが医薬品と同様に考えられ、また多くの医師が治療、健康管理で使用しているわけです。日本では、サプリメントは一般食品ですから、ほとんどの医師は治療で使用しません。また、米国では医師は薬と同様の考え方にたっていますので、サプリメントは単独成分で製品設計されているものが多く、かつその成分量は日本のサプリメントの5倍~10倍程度配合されているのが一般であることなど、製品設計の考え方が異なっています。
こうした日米のサプリメントの考え方や設計の違いを知っておくことが、米国製サプリメントを摂るときに役立つでしょう。特に、遺伝子や体型の違い、医師が薬のように使うこと、単独成分であることなど、日本とは大きく異なっているわけです。
こうした基本な違いがありますので、単に米国がサプリメント先進国だと考えることは必ずしも適切とはいえません。ただ、米国でサプリメントを使うときには、日々の食生活をしっかりチェックしてから選びます。日本では食生活をしっかりチェックしてサプリメントを選んでいるとはいえないと思われます。米国では、サプリメントは日々の食生活を見直し、不足している栄養成分を補給する食品であるとする考え方があります。そういう意味で、日本では食生活を見直さず、まるでサプリメントから栄養を摂るかのようなサプリ選びという現状も目に映るわけです。
サプリメントは「食生活を補完する食品である」ということを、ぜひこの機会に考えてもらいたいと思います。なお、米国におけるダイエタリーサプリメント情報や統合医療に関する情報を知りたい方には、「米国統合医療レポート」(http://www.anzai-assoc.com/report/)が参考になるでしょう。
テーマ : 健康食品 サプリメント
ジャンル : ヘルス・ダイエット
ダイエットとメタボリック-ライフスタイルを見直す
がんだけではなく、紫外線による日焼け・皮膚老化 (活性酸素)、肥満・メタボ(脂質代謝異常症)、脳・心臓血管系の予防研究など、さまざまなカロテノイド成分(リコピンなど)の研究が日本国内、また海外で実施されています。内閣府規制改革会議は、この食品成分の機能表示について一年をかけて検討するようですが、私たちは野菜や果実に含まれる天然の機能成分を知って、ウエルネスに役立てたいものです。それぞれ、ライステージで留意しておきたいことについてお話します。
Keywords:
ダイエット、BMI(Body Mass Index)、ジャンクフード、メタボリックシンドローム、メタボ予備軍、生活習慣病、肥満、内臓脂肪、体脂肪率、脂質代謝異常症
20代~30代のライフステージ
この世代の人で、健康不安を感じるという人は少ないと思います。私事になりますが、私自身も、この年代では食べれば元気になる、眠れば元気になるというのが日常でした。健康に不安を感じたのは40歳をしばらく過ぎてから疲れが以前のようにぬけなくなったことがきっかけです。
20代と30代というのは体力と気力が漲っている時代です。体力に自信があり、何を食べても体調はいい、眠ればまた元気になる、多くの方ではそんな時代かもしれません。
ただ、30歳代からは、40代以降の健康維持のために、食生活・運動・睡眠など(精神生活も)のライフスタイルを一度見直してみる必要があるでしょう。そして、ウエルネス(健康づくり)の取り組みをはじめる年代だともいっていいでしょう。ウエルネスの取り組みを30代いはじめる人は、それが早く日常生活の一部となり、40代以降も永続しやすいからです。
この年代の方には、10年後の自分を考えた食生活が大切であることをお伝えしておきます。特に、野菜や果実をなるべく多く摂る食生活を心がけましょう。この世代n多くの人では、野菜や果実から摂るビタミン、ミネラル、ファイバー(食物繊維)、フィトケミカル(天然化学成分)の不足が顕著です。
1)ひと言、男性に ⇒ハンバーガー・コンビニフード・インスタント食品・酒・タバコ・徹夜・・・そろそろストップすることを考えましょう。そうしたジャンクライフは10年後にウエルネスの障害となってあらわれやすくなります。40代のウエルネスは20代や30代のようにはいかないものです。今から、食生活を見直したり、運動習慣を意識してウエルネスに取り組むことを考えましょう。そして、男料理を覚えるのも今ですね。20代では肥満(BMI25以上)が19.5%、メタボおよび予備軍は15.1%、30代では肥満が28.8%、メタボおよび予備軍が25.4%と報告されています。
体を動かすことが多く、基礎代謝も高い世代ですが、30代からはメタボの予防にも留意しましょう。健康習慣は30代以降も継続することを意識し、メタボ(脂質代謝異常症)にならない生活リズムをつくるときです。
2)ひと言、女性に ⇒ハンバーガー・コンビニフード・ドーナッツ・スイーツ・アイスクリーム・徹夜・・・メタボを気にしながらメタボをめざす食生活は、そろそろストップすることを考えましょう。ジャンクフード、コンビニフードなどは人工添加物、人工調味料、トランス脂肪酸の宝庫です。今、野菜や果実をしっかり摂り、正しいダイエットを食生活からはじめるときです。そして、しっかり歩き(運動)、早寝・早起というライフスタイルでメタボ(肥満)も解消します。安価な合成サプリメント(ジャンクサプリ)もNGです。サプリメントは、少し高くても、天然成分を素材原料にしたサプリメントを選ぶようにしましょう。
それから、ダイエットの言葉がさまざま使われます(多くは「痩せる」)が、ダイエットは「食生活を見直し(改善)、健康な体をつくる」ことです。野菜や果実のちから(ビタミンやミネラル、ファイバー、カロテノイドなど)で正しいダイエットに心がけましょう。
40代~50代のライフスタイル
40歳以降は、エイジング(加齢)とともに体の生理機能がどんどん低下していきます。生理機能は臓器であったり、動作であったり、免疫機能であったりさまざまです。積極的なウエルネスの取り組み(健康づくり)が必要なのは、この40歳からであることをこれまでにもお話しました。40代になって、20代あるいは30代と同様のライフスタイル(特に、食生活)を続けると、肥満・脂質代謝異常(メタボ)・がん・脳・心臓血管系など生活習慣病がきわだって発症しやすくなるといわれます。
ウエルネス(健康)は、「体に異常がない、病気ではない」ということでなく、積極的に自分の健康を考え、アクティブに健康づくりに取り組むライフスタイルのことです。ウエルネスの取り組みは、精神的にも充実した時間(人生)になります。
肥満度の指標、BMIは健康の指標です。特に40代以降、BMIは健康の指標として重要になります。メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群・脂質代謝異常症)は、肥満・高血圧・糖尿病・脳心血管系の病気の発症につながる危険な症候群です。メタボの原因は、食べすぎと運動不足、実に明確です。ですから、誰でも、すぐに、メタボの改善に取り組むことができます。
全男性のBMI25以上(不健康・肥満)は、昭和50年に15%、昭和60年に18%、平成5年に24%、平成15年に27%と増加し続け、平成22年には30.4%に増加しました(厚生労働省調査)。全女性のBMI25以上は21.1%で、男性とは異なり、この27年間大きな変化はありません。男女ともに、この年代はメタボの予防を意識する、それがその後の健康維持に大きく関わります。
1)ひと言、男性に ⇒おつきあいの酒席は、3回に1回は勇気をもって断りましょう。この年代の2人に1人はメタボおよび予備軍です(検診結果)。40代のBMI25以上は35.2%、メタボおよび予備軍は41%です。50代ではBMI25以上が37.3%、メタボおよび予備軍は62%です。
さらに、この年代では、がんの罹患可能性が高まります。食生活では肉食(赤みの肉や脂質)を減らし、野菜・果実を増やす、運動習慣をもつ、休養をとることを強くおすすめします。
2)ひと言、女性に ⇒痩せる願望ではなく、健康な体づくりをはじめましょう。女性では、BMI25以上は20代が7.5%、30代が13.8%とされ、年代を追って増加しますが、40代で18.3%、50代で19%と、男性ほど顕著な差はありません。メタボおよび予備軍も男性より格段に少なく、40代で7.7%、50代で14.6%とされています。ただ、女性は60歳以降がBMI25以上が増加しています(60代で27%、70代で27.1%)。肥満はメタボの入り口になりますので、この年代の女性は、特に、運動習慣をもつ生活を心がけることが大切です。
60代~70代のライフステージ
60代以降は健康維持が中心ですが、肥満と加齢がメタボ(脂質代謝異常症)のリスク因子(発症原因)ですので、加齢は別とし、メタボは注意する必要があります。体は大きくは変化しませんが、風邪などの軽度の病気でも、がんやメタボなどに起因する病気の誘発につながることもありますので、安定したライフスタイルを維持することが大切です。食生活では栄養バランスを考え、野菜・果実をたっぷり摂り、運動習慣を継続することが大切です。歩く(ウォーキング)は立派な運動になりますので、無理ない日課で、自分のペースで、毎日続けるようにしましょう。運動習慣は、足腰(筋肉)だけでなく、心臓や肺の機能を高め、血圧を整え、代謝を上げるなど、目に見えない健康効果が盛りだくさんあります。
がん予防とメタボ予防
日本でもBMI25以上という人が増加しています。BMI25以上は「あなたは、ダイエット(健康)な体ではありません。このままでは病気を発症しやすくなりますよ」というメッセージとして理解する必要があります。いわば「あなたは、これから不健康になります」と教えるのがBMI25以上の指標だということです。BMI30以上は病気(肥満症・メタボ)です。ほとんどの人が脂質代謝異常や動脈硬化を指摘されます。
BMI30以上が4%に達したことも発表されました。米国ではBMI25以上が68%、BMI30以上が33%ですから、日本はたいしたことがないと考えがちです。しかし、糖尿病の発症差異などで指摘されるように、欧米人と日本人では遺伝子(多型)が異なることもあり、単純には比較できません。例えば、米国ではこの10年、がんの罹患率が低下していますが、日本ではほとんど減少していないのです。
なお、WHO(世界保健機関)は、BMI25以上を「過体重」、BMI30以上を「肥満」と定義しています。日本はBMI22を標準とし、25以上を肥満と定義(日本肥満学会)しています。また、欧米では体重(BMI)より、「体脂肪率」(脂肪比率)を重視していて、体脂肪率で肥満を定義します。低体重でも、体脂肪比率が高ければ肥満とされています。
また、男性はエネルギーで使われない過剰なカロリーが内臓に蓄積されるので、メタボリックシンドロームを発症しやすいこと、女性は皮下脂肪への蓄積も多く、メタボは男性より少なくなっています。この内臓脂肪の蓄積は動脈硬化を促進し、脳・心臓・血管病の発症につながる危険因子です。ただ、内臓脂肪は皮下脂肪よりエネルギー代謝されやすいため、有酸素運動などで代謝を高めることがメタボの予防になります。
がん予防では、栄養バランスを考えた食生活、野菜・果実を多く摂りましょう。特に、カロテノイド成分は抗酸化力が高く、意識して摂るようにしたいものです。リコピンはじめ、カロテノイド成分の研究が進み、がんやメタボの予防に役立つカロテノイド成分が注目されるようになっています。
40歳を過ぎたら、毎日の食生活に気を配り、有酸素運動を習慣とし、代謝を高めるウエルネスを忘れずに行いたいものです。
テーマ : ダイエット・美容・健康
ジャンル : ヘルス・ダイエット
予防医学とウエルネス -「未病」を治す予防医学2011年、国が指定する4大疾患に精神疾患が加えられ、「がん・急性心筋梗塞・脳卒中・糖尿病・精神疾患」の5疾患が指定疾患とされました。新たに追加された精神疾患は、職場でのメンタルヘルスと認知症の増大という社会的背景が理由とされています。いずれも対策が急務で、罹患者が年々増加している疾患群です。私たちが自分のライフスタイルの見直しによって予防できる病気もあり、私たちは今、自分自身で病気を予防することを考える時代になっています。
東洋医学における「未病」
東洋医学は本来的に予防医学の視点をもつ医学であり、「未病」という独自の診断基準があります。東洋医学における「未病」の言葉が、今、西洋医学の場でも使われるようになっていますが、これは東洋医学独自の「個の医療」の言葉が、「オーダーメイド医療」あるいは「個別化医療」の言葉で西洋医学でも使われるようになったことと同様、大変興味深い現象です。
東洋医学の基礎は古代中国医学にあります。経験の積み重ねで発展した中国医学では、一人ひとりの、一つひとつの医療が異なることは当然の理(ことわり)です。中国医学には、「同病異治どうびょういち(同じ病気でも、治療が異なる)」「異病同治いびょうどうち(異なる病気でも、治療が同じ)」、さらに「身心一如」しんしんいちにょ(身と心は一体)という考え方もあり、これらは東洋医学の本質をあらわす考え方です。
現在、遺伝子医学(分子医学)として、個体差を治療に生かす遺伝子検査も進んできましたが、中国では2000年も前に、一人ひとりの異なる医療を当然として実践していたわけです。
中国医学は日本では漢方医学、韓国では韓医学として、それぞれ独自の発展を遂げてきましたが、いずれもその基礎は中国医学に連なり、西洋医学との対比から東洋医学とよばれます。東洋医学では、健康と病気を体の段階的(連続的)な状態と考えていて、西洋医学のように健康か病気のいずれかという二者択一では考えていません。
西洋医学と「心身二元論」(デカルト)
西洋でもヒポクラテスの時代(古代ギリシャ)は中国医学と同様の考え方でしたが、ギリシャ哲学者のデモクリトスという人が、「物をどんどん分割していくとそれ以上分割できない最終単位(原子)になり、宇宙、人間を含めた自然、森羅万象はこの最終単位である原子の離合集散である」と考える哲学(原子論哲学)を起こしました。この哲学は、その後プラトンやアリストテレスなどによっていったん排斥されましたが、1000年以上後の17世紀後半、「あらゆる自然界の存在を、物(原子)でできた精巧な機械とみなす自然哲学が再び支配的となり、この自然哲学はニュートンやガリレオ、デカルトなどへと受け継がれました。
今日、自然学=physicsは「物理学」、学問・知識=scienceは「自然科学」へ意味が変遷していますが、自然=物とみる自然哲学(自然科学)は、この17世紀後半~18世紀にほぼ確立したとされます。今日の近代医学(西洋医学)はこの自然哲学(自然科学)の一分野として、現在までめざましい発展を遂げています。
デカルトは「私は物(質)のことを自然とよぶ」といい、物(身体)と心(意味・価値)をきっぱりと分ける「身心二元論」を展開しています。
近代西洋医学は、この原子論哲学を母体に、人間を物(原子)へと還元し、個がもつ意味や価値を没化することによって発展した医学です。今日の西洋医学はこの自然哲学に立脚していますので、そうした意味で「未病」や「個の医療」、「個別化医療」という言葉が使われることは、きわめてエポックな出来事だともいえるのです。
原子論哲学を母体として発展した西洋医学は、すべて物(原子)に着目しますから、物が壊れたから修理(治療)する、物が壊れていないか調べる(検査)、物が使えなくなったから交換(移植)する、という考え方が基本になっています。物としての側面を対象としますので、非常にクリアとなり、この直截的な考え方によって医療が目的を果たす可能性を飛躍的に高めたのです。
病気の基準である検査値に異常がなければ病気ではないと判断するように、健康か病気か、二者択一の健康観を前提とした医学です。そのことが東洋医学の段階的健康観とは異なっています。
予防医学と未病
予防医学は、病気にならないライフスタイルや未然に病気を防ぐ方法を研究する医学です。私たち自身では、病気になりにくいライフスタイルを心がけることが予防医学(一次予防)になります。予防医学は、この病気にかかりにくいライフスタイル(生活習慣)をもつ一次予防、健康診断などの二次予防、病後の再発防止や回復促進(リハビリなど)などの三次予防があります。
さて、私たちは「病気」を自覚すると病院へ行きます。病院で医師にいろいろ尋ねられ、「疲れがぬけない日が続いていた」「体の冷えが続いていた」「睡眠不足や眠れない日が続いていた・・・」など、病気を自覚する以前、自分自身で気になっていた体の状態に気づくことがあると思います。
東洋医学では、本人が病気を自覚する以前のさまざまな体調の変化や症状から「病気ではないが、健康ともいえない」という体の状態を把握し、いわば「未病という病気」として診断することがあります。この「未病」の診断は、そうした体の状態を放置すると、近い将来、病気を発症する可能性が高く、病気の前段階にあることを診断しています。
「未病」を診断すると「病気が発症しないよう」に、養生(ようじょう)ともいうべき食生活をはじめとしたライフスタイルの見直しや、その改善を指導します。すなわち、この「未病」の診断は、病気を発症させないようなライフスタイルやウエルネスの取り組みが必要であるという、予防医学の診断だということです。。東洋医学には、西洋医学のような二者択一的な健康観はなく、体の状態を詳しく知るために「問診もんしん」をきわめて重視しています。これは体の状態が健康と病気のどの段階にあるのか、を正しく把握する-診断する-ためです。
これに対し、西洋医学での予防医学は、健康診断であらわれた検査値を基準にします。既にお話した通り、西洋医学には病気を診断する基準値(検査値)がありますから、病気なのかどうか、その基準値で診断できるわけです。ですから、自分自身は体の状態が気になっても、基準値に異常がなければ病気とは診断しません。また、検査値がその基準値に近い場合、予防医学の必要性を判断します。東洋医学のように、段階的な健康観は西洋医学にありませんので、西洋医学は必ずしも予防医学を得意としているわけではありません。
一次予防で「未病」を治す(ちす)
東洋医学は自覚症状から「未病」を考え、検査値も参考にしています。ですから、検査値に異常がなくても自覚症状を重視して、未病の診断をします。これは一次予防にあたります。
西洋医学は検査値の異常から「未病」を考え、自覚症状も参考にしています。ですから、自覚症状がなくても検査値の異常を非常に重視して、未病の診断をします。これは二次予防にあたります。
「未病」の考え方は、段階的な健康観をもつ東洋医学独自の概念でしたが、今、日本では西洋医学の場でも予防医学の視点で「未病」の概念を使うようになりました。このことは、予防医学をキーワードとする東西医学の融合だともいえ、患者の立場からは歓迎すべきことでしょう。また、世界最高の医学である日本ならでの医療、医学のエポックだといえます。
私たちは、自分自身ができること、病気の予防につながるウエルネスライフ(食生活や睡眠、運動習慣、禁煙などの改善や自己管理)を心がける(一次予防)がもっとも大切なことです。東洋医学が「未病」の診断で重視する自覚症状の変化に日頃から気を配り、そして、病気の前段階に多い、慢性腹痛や疲労蓄積、偏頭痛、不眠、冷え、精神不安などを感じたときはそうした状態を放置せず、ライフスタイルを改善したり、東洋医学の専門医に相談するようにしましょう。また、二次予防の検診で「未病」を診断された場合には、自覚症状の有無に関わらず、専門医に相談するようにしましょう。
ウエルインデックスでは健康アドバイザー制度を通じ、東洋医学と西洋医学の専門医をご紹介しています。専門医の紹介をご希望の方は、ウエルインデックスのホームページ(http://www.wellindex.co.jp)「健康アドバイザー制度」をご覧ください。
私たちは、病気になる前段階の「未病」を治す(ちす)、自覚症状を改善する予防医学をいつも意識していたいものです。特に、40代以降は体のさまざの生理機能が低下し、病気が発症しやすくなります。これまでの食生活や運動、睡眠、休養などを見直して、積極的にウエルネスに取り組むようにしましょう。このウエルネスの取り組みとは、自分自身で「未病」に気づいたり、自分自身で「未病」を治す予防医学なのです。
テーマ : 漢方・東洋医学
ジャンル : ヘルス・ダイエット
睡眠とウエルネス(健康)
Keywords:
体内時計(サーカディアンリズム),現代社会とストレス,心臓疾患,肥満,グレリン,レプチン,メラトニン
昼夜の区切りと現代の社会環境
現代社会は、エネルギーを24時間(一日中)利用できるため、昼夜の区切りが見えにくい社会になっています。本来、人間は「明るいときに活動し、暗くなったら眠る」 という人類史の延長線上にいます。アフリカ諸国などで、今でも昼夜による時間の区切りある一日を送っている国があります。
人類史からみると、エネルギーを24時間いつでも使え、昼夜の区切りなく活動できるというのは長い歴史ではありません。「昨日から」、そう表現してもいいほどの時間です。そういう意味で、私たちは昨日から大きく変わった社会環境に適応しながら、あるいは適応していくことを半ば強制され、現代という社会に生きているわけです。
私たちには「体内時計」があり、体は昼夜を区別し、私たちの意識と無関係に生体の恒常性を制御しています。これを「サーカディアン(概日)リズム」とよんでいます。日中は日中らしく、夜間は夜間らしく、生体の恒常性を守ろうとしているわけです。このことは、日中は体を動かし、夜間は休むという人類史からも導かれる人間の基本的な生体リズムなのです。
ですから、24時間活動する社会環境というのは、生体リズムからみると、不健康(病気)を誘発する可能性をはらんだ社会だともいえるわけです。昼夜の区切りは、生物としてのリズムに従った、健康のために必要な生活リズムだということをぜひ自覚したいものです。
睡眠とウエルネス
ウエルネス(健康)のために、毎日の睡眠の質を見直してみることをおすすめします。睡眠を含めて、自分のライフスタイルは自分自身で選択し、実践していくのが基本ですが、24時間活動する現代社会は、私たちのライフスタイルの選択にも大きな影響を与えています。
今、4人に1人は「眠れない」(不眠)ことを訴え、医療機関を受診したり、睡眠薬を服用しているそうです。また、数年前から、中枢神経系の薬が循環器系(高血圧・心臓病など)や呼吸器系(肺疾患、喘息、風邪など)の薬より多く医療の場で使われるようになっています。中枢神経系の薬の多くはストレス関連疾患の病気や不眠などの治療で使われています。ストレス関連疾患はこの現代社会で急速に増加し、現代病的な側面をもっていて、不眠の原因にもなっています。その大きな原因が、現代社会(IT社会)の精神的ストレスの蓄積、そしてストレスの無開放だといわれているのです。
ストレスの開放
ストレスは、ゴム鞠を押すと凹むように、「一時的」な外力によって凹んだ状態と表現されます。ストレスは誰にでもある日常で、普通の場面です。日常的な一場面だと考えるようにし、考え過ぎず、できるだけ早くその外力を開放してやることでストレスも解消されます。ですから、日常的にストレスを開放してやる生活習慣をもつことがいちばん大切です。
ストレスの開放は何ら特別なものである必要はなく、歩くこと、ウォーキングであれば、誰にでも、すぐにはじめることができます。ウォーキングがストレス解消に?と思うかもしれません。ところが、ウォーキングほど、誰にでもできるストレス解消法はないのです。
ストレスとウォーキング
まずは、自分が一日にどれだけ歩いているのか把握しましょう。10,000歩を超える人は少ないと思います。日常、すぐにエレベーターやエスカレーターに乗る、徒歩15分と聞けばバスやタクシーに乗る、歩き方が緩慢でダラダラしている、そういう人は歩きが足りない、一日3,000歩、4,000歩程度の人が多いと思います。「歩くこと」はウエルネス(健康)に必要な、基本的な身体活動です。この機会に、ぜひ毎日10,000歩を歩くことを意識しましょう。10,000歩を歩くと、慣れないうちは足や体があちこち痛くなります。しかし、その症状こそが運動不足の証拠ですから、それで歩くのをやめてしまうとウエルネスから遠ざかってしまいます。慣れれば、10,000歩(約8km2時間)などはアッという間なんです。日中に仕事で4km歩いている人は、帰宅してから4km歩けばいいのです。ウォーキングやジョギング、ランニングなど、自分のペースでいいので(これは競争ではありません)、うまく織り交ぜてぜひやってみてください。気持ちよい汗がにじんできます。
私が交流しているある大学教授は、特別な場合以外(年に10日もないそうです)、毎日帰宅後(出張のときでも)に10kmランニングすることは日常生活だそうです。スポーツジムでの筋力トレーニング(無酸素運動)より、有酸素運動であるウォーキングやランニングの方が基礎代謝を高めることもわかっています。何より費用がかかりません。誰にでも、今日からすぐにできます。ただ、排気ガスの多い(車の多い)通りはダメですので注意してください。二酸化炭素や二酸化硫黄などを多く吸気して、有酸素運動にならないからです。いい環境でいい空気を吸いながらやりましょう。
睡眠と心臓疾患
睡眠時間はどれだけ(○時間)必要とか、決まった時間はありません。個人差が大きいためです。睡眠時間とウエルネスに関するコホート研究(疫学的研究)があります。それによると、ウエルネスな睡眠時間は最低でも5時間以上、長くても8時間程度までがもっともウエルネスに相関するとされます。4時間程度の睡眠時間や9時間以上の睡眠が続くと、かえって生体リズム(ホルモンなど)が変調するようです。
先ごろ、オランダ国立公衆衛生環境研究所は、十分な睡眠(7時間以上)が心臓病の罹患リスクを65%下げることを「ヨーロッパ予防心臓病学雑誌」に発表しました。研究の背景は、20歳の男性6,672人、女性7,967人の合計14,639人の12年間にわたる追跡調査です。これまで「食生活」・「運動」・「適度な飲酒」・「禁煙」の4つの生活習慣が心臓病の罹患リスクを12~43%下げるとされていました。十分な睡眠をとると、それが65%下げると報告されています。
睡眠と肥満
睡眠不足が肥満を促進することはご存知でしょうか。肥満になる人の食生活は、過剰カロリーと野菜不足がほぼ共通しています。この頃、糖尿病の血糖コントロールで推奨される「野菜を先に食べよう運動」が、肥満の解消、生活習慣病の予防でも大きく取り上げられています。また、バランスのとれたダイエットでもそれが大切です。
野菜を先に食べるのは、1)繊維質を多く含むため、お腹がふくれます。野菜を先に食べてお腹をふくらませよう(満腹にしてしまおう)という考え方ですね。2)繊維質は後から摂る炭水化物(糖質)や脂質の吸収を遅らせます。すぐに血糖値をあげないようにします。3)野菜はビタミン、ミネラルなどを含み、栄養代謝やエネルギー代謝の酵素の働きを促進します。
消化がいいもの(炭水化物や脂質)は量が少なくても高カロリーなのが特徴です。チョコレート、スイーツ、ハンバーガー、スナック菓子類などのジャンクフードは吸収されるのも早く、高カロリー、量は少なめです。そのため、満腹感を得ようと相当な高カロリーを摂取しているわけです。200円程度のチョコレート1パックでも600~700kcalあります。カロリーだけ高く、栄養は偏り、満腹感が少ないために過剰摂取してしまいがちです。
さらに、今度はそれを下剤的サプリメントや便秘薬で便通だけ治そうとする- そんなダイエットは本末転倒ですね。正しいダイエットは、食生活の改善(特に、野菜の大量摂取とジャンクフードのストップ)、それから運動(身体活動)です。それで便通は整い、しっかりダイエットはできるのです。
不眠が続くと、食欲中枢を刺激する「グレリン」というホルモンの分泌が活発になることがわかっています。一方、十分な睡眠は「レプチン」という食欲の抑制ホルモンを増加させることもわかっています。私たちが無意識でも、睡眠の質によってホルモンが食欲を制御しているんですね。ですから、不眠や睡眠不足が続くと肥満につながるのです。
メラトニンを分泌させる生活
サーカディアンリズムに関連して、メラトニンというホルモン(脳の松果体という器官から分泌される睡眠誘導ホルモン)は、光が減って暗くなると、体内時計でそれを感じて自然に分泌されます。このメラトニンが分泌されると私たちは眠くなるわけです。そして、この眠気は、生物として「夜なんだから休みなさい」と体内時計が指令を発していると考えることができます。
このとき、休まないで活動を続けているとさまざまな病気を誘発する原因にもなったりするわけです。たとえば、WHO(世界保健機関)のがん研究専門チームは、夜間勤務や交代勤務という職種群では、日中の勤務群よりがんの罹患率が高いことを報告しています。ここでも、メラトニンの分泌減少で、がんの罹患率が高まるという研究報告があります。
そうした意味で、昼夜の区切りのない現代社会は、生物としての体内時計を狂わす要因になる環境だともいえるわけです。私たちは現代社会のそうした環境に飲みこまれずに、昼夜の区切りある生活をおくることが、ウエルネスのために大切なことだといえるでしょう。そうした生活がもたらす睡眠は、質の高い睡眠になり、ウエルネスにつながる睡眠だといえるでしょう。
テーマ : ダイエット・美容・健康
ジャンル : ヘルス・ダイエット